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　オーストラリアトヨタ、生産継続に赤信号
12月13日(NNA)

　連邦裁判所は12日、トヨタ・オーストラリア（豪トヨタ）の４人の労働者がコスト削減にかかわる新労使協定の差し止めを求めた訴訟で、フェアワーク法に抵触しているとして差し止めを認める判決を下した。
同社は「裁判の結果に失望した。13日に予定していた同協定の投票は延期する」との声明文を発表。
生産継続の鍵となる同労使協定が却下されたことで、トヨタの生産撤退がより現実味を増してきた。

ただ同裁判所は、労使協定変更の内容を差し止めるとしたものの、「豪トヨタには2015年３月に期限を迎える労使協定を変更する権利がある」として、協定変更自体は認めている。

豪トヨタは同労使協定により、ビクトリア州アルトナ工場のコストを1,700万豪ドル（約15億7,700万円）削減する計画だった。
同社によれば、新労使協定は「21日間のクリスマス休暇の廃止」など、同社の競争力向上を阻害してきた条項を削除したものという。

同社の安田政秀社長は声明文の中で「同協定の変更は権利の一つで、投票を通して大部分の労働者の支持を受けると信じている」とした。
また「ホールデンが17年の生産中止を決めたことで、同社の生産事業、関連部品企業は大きなプレッシャーにさらされている。来年、新型カムリの生産と輸出計画を決定するが、生産を続けるならば緊急の行動が必要とされる」と状況を説明した。
同社は同協定が成立しなければ、トヨタ本社のオーストラリア工場の存続決定に否定的な影響を与えるとしている。豪トヨタは現在、控訴も含めた対応を検討している。

■労組間で対立？

判決前、オーストラリア労働組合評議会（ＡＣＴＵ）は「同協定は労働者に過剰な負担を強いるもの」として、豪トヨタの労働者は同協定に合意すべきではないとしていた。
一方、別の労組であるオーストラリア製造業労組（ＡＭＷＵ）は「豪トヨタは労働者のために努力している。労働者は同協約に合意するだろう」とするなど、２つの労組が違う意見を示していた。

ＡＭＷＵのスミス自動車部門書記長は「トヨタから、国産車の生産が減少すれば生産は続けられないと聞いた」と述べた。
またＡＭＷＵの別の幹部は「アボット政権が補助金を出し惜しみしなければ自動車産業を救えた」と批判している。

豪トヨタは、フォード・オーストラリアとＧＭホールデンの生産撤退から国内部品企業を救うため、スポーツタイプ多目的車（ＳＵＶ）の生産開始も検討していたもようだ。

■首相は豪トヨタの存続を熱望

アボット首相は11日、前日夜に豪トヨタの安田社長と直接電話で会談し「同社の存続を望む」と伝えたことを明らかにした。
同首相は「豪トヨタはホールデンとは違い、生産車の大半を輸出しており、世界市場につながっている」と述べ、同社の競争力を評価し今後も同社との対話を継続していくとした。ただ、同社への追加の補助金は支給しないと明言している。