ゴールドコースト Today

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　 豪ドル安進行、経済に恩恵も：輸出型産業など歓迎
5月16日（NNA）

　 外国為替市場が豪ドル安傾向を強めていることで、国内経済に恩恵があるとの見方が出始めた。
14日夜に１豪ドル＝0.998米ドルに下落し、昨年12月20日以来約５カ月ぶりに豪ドルが米ドルに対して等価（パリティー）を割り込んだことで、製造や観光、教育など輸出型産業の関係者の間では、豪ドル安による恩恵を受けるとの見方が強まっている。
２月以降、対米ドル豪ドルレートは約８豪セント、対ユーロ豪ドルレートは５％それぞれ下落している。
15日午後５時時点の豪ドルレートは１豪ドル＝0.9998米ドルだった。

ただし豪連邦準備銀行（ＲＢＡ）のロウ副総裁は等価割れについて、「恒久的な豪ドル安の始まりではない」との見方を示している。

豪ドル安を歓迎しているのは教育業界だ。クイーンズランド州ロックハンプトンの公立セントラル・クイーンズランド大学のボーマン学長によると、近年の豪ドル高の影響で同大学の留学生数は伸び悩み、今年２月には職員10人の雇用削減に踏み切っている。
同学長は「近年、教育業界は豪ドル高や煩雑なビザ制度に悩まされてきた。最近の豪ドル安は教育業界にとって朗報だ」と話している。

観光業界からも豪ドル安による経済効果を期待する声が上がっている。
このうち、仏系ホテル経営大手アコー・ホテルズのフック広報担当は、「豪ドル安は豪州を訪問するアジアからの観光客増加をもたらすほか、海外旅行より国内旅行を選ぶ豪州人が増える」と話している。
豪観光輸出協議会（ＡＴＥＣ）のマリアニ代表は豪ドル安を歓迎する一方、連邦政府が７月から実施する出国税の引き上げや炭素税の導入、世界的なジェット燃油価格の高騰を受けた燃油特別付加運賃（燃油サーチャージ）の引き上げによる観光業界への影響に懸念を示している。

農業部門にも好影響をもたらすとの見方が浮上している。このうち、ナショナル・オーストラリア銀行（ＮＡＢ）の農業エコノミストであるクリード氏は、豪ドルレートが１豪セント下落した場合、農業分野に１億9,000万豪ドルの増収をもたらすとの見方を示している。
地方産業大手エルダーズのジャックマン最高経営責任者（ＣＥＯ）は、豪ドル安により国産農産物の需要が今後上昇すると予想している。

輸出型産業はこれまで、豪ドル高の恩恵を受けた輸入型産業との競争に直面しており、今年２月までの１年間に製造業の就業者数は約３万人、宿泊・食品分野の就業者数は４万人それぞれ減少している。

■外資の農業資産買収も加速へ

一方、株式仲介業者ＥＬ＆Ｃベイリュー・ストックブローキングのアナリストであるデュマレスク氏は、豪ドル安により、今後外資による豪州の農業資産買収が活発化するとの見通しを明らかにした。人口が増大しているアジア地域での農産物の安定供給が狙いとみられる。 (NNA)

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